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おしりの痛み

おしりが痛い

おしりの痛みは、排便のときだけ痛むのか、排便と関係なく痛みが続くのかによって、考えられる病気が異なります。痛みの強さだけで重症度を判断することはできませんが、急に強く痛み始めた場合、腫れや発熱を伴う場合、時間とともに痛みが強くなる場合には、早めの診察が必要です。

排便時におしりが痛む

便が肛門を通るときに、「切れるような痛み」「しみるような痛み」を感じる場合は、裂肛(切れ痔)が多くみられます。トイレットペーパーや便の表面に、少量の真っ赤な血が付くこともあります。裂肛では、排便時だけでなく、排便後もヒリヒリした痛みや強い痛みがしばらく続き、人によっては数時間にわたって痛みが残ることもあります。
一度症状が治まっても、便が硬くなったときや下痢をしたときに、同じ場所が再び切れて症状を繰り返しやすいことも裂肛の特徴です。繰り返すうちに傷が治りにくくなり、慢性化する場合があります。痛みのため排便を避けるようになると、便秘が悪化することもあります。
排便後も痛みが長く続く、いったん改善しても何度も繰り返す、以前より痛みが強くなっている場合には、市販薬だけで様子をみず、一度ご相談ください。

排便していない時もおしりが痛む

排便をしていないときも痛みが続く場合には、血栓性外痔核、嵌頓痔核、肛門周囲膿瘍などが考えられます。
肛門の外側に突然硬いしこりができ、触れたり座ったりすると痛む場合は、血栓性外痔核が多くみられます。また、肛門から脱出した痔核が戻らなくなり、大きく腫れて強く痛む場合は、嵌頓痔核の可能性があります。
時間とともに痛みが強くなり、肛門の周囲が腫れる、熱をもつ、発熱を伴う場合には、肛門周囲膿瘍が疑われます。肛門周囲膿瘍は、肛門の周囲に膿がたまる病気で、薬だけでは改善せず、膿を外に出す処置が必要です。肛門周囲膿瘍が疑われる場合は、早めに受診してください。
そのほか、肛門周囲の皮膚炎、外傷、ヘルペスなどでも痛みが起こります。ヘルペスでは、肛門周囲に痛みやかゆみを伴う小さな水疱や潰瘍ができることがあります。痛みの原因は見た目だけでは判断しにくいため、無理に触ったり、市販薬を使い続けたりせず、診察を受けることをおすすめします。

おしりの痛みとがんの関係

おしりの痛みの多くは、裂肛や血栓性外痔核、肛門周囲膿瘍などの良性疾患によるものです。大腸がんでは、肛門の痛みが症状となることは一般的ではありませんが、肛門に近い直腸がんでは、排便時の痛みや違和感などを生じることがあります。また、血便、便秘や下痢などの便通の変化、残便感、便が細くなる、貧血などがみられることもあります。
診察では、肛門の視診や指診、肛門鏡検査を行い、症状や年齢、これまでの検査歴などに応じて大腸内視鏡検査をご案内します。肛門に治りにくい病変やしこりがある場合には、組織検査が必要になることもあります。

おしりの痛みから考えられる主な疾患(早見表)

以下は症状の代表的な傾向です。実際には症状が重なることや個人差があるため、痛みの出方だけで病気を断定することはできません。

痛みの特徴・出るタイミング考えられる主な病気伴いやすい症状
排便時に切れる・しみるように痛む裂肛(切れ痔)少量の鮮血、硬い便・便秘、症状を繰り返す
排便と関係なく痛む、肛門の外に硬いしこりがあり、座ると痛い血栓性外痔核突然のしこり、腫れ
脱出した痔核が戻らず大きく腫れて強く痛む嵌頓(かんとん)痔核強い腫れ、激しい痛み
時間とともにズキズキした痛みが強まる、腫れ・熱感がある肛門周囲膿瘍発熱、座れないほどの痛み
肛門まわりのかゆみ・ヒリヒリ、小さな水疱やただれ肛門ヘルペス・皮膚炎(かぶれ)かゆみ、ただれ
痛みに加え、出血・便通の変化・体重減少がある大腸がん・肛門がんなど(要検査)血便、便秘、便が細い、貧血

肛門に異常がないのにおしりが痛む

肛門の痛みがあっても、診察や検査で裂肛、血栓性外痔核、肛門周囲膿瘍、腫瘍など、痛みの原因となる明らかな異常がみつからないことがあります。このような痛みには、肛門挙筋症候群、発作性肛門痛、会陰部神経痛などがあります。
これらの病気には、原因や病態が十分に解明されていないものもあります。診断には、裂肛、肛門周囲膿瘍、痔瘻、炎症性腸疾患、腫瘍などの器質的疾患を診察や必要な検査によって除外することが重要です。
治療法は一律ではありませんが、病気や症状に応じて、便通を整える、温浴を行う、長時間座ることを避けるなどの生活上の工夫に加え、必要に応じて鎮痛薬や神経痛治療薬などを使用し、症状の軽減を目指します。

肛門挙筋症候群

肛門や直腸を支える骨盤底筋が過度に緊張することで起こると考えられています。肛門の奥に鈍い痛みや圧迫感があり、「何かが入っている」「重苦しい」と感じることもあります。痛みは30分以上続くことが多く、長時間座ると悪化し、立ったり横になったりすると軽くなる傾向があります。

発作性肛門痛

排便とは関係なく、肛門の奥に刺すような痛みや、締め付けられるような強い痛みが突然起こります。痛みは数秒から数分程度、長くても30分以内に治まり、発作のないときには痛みが残らないことが特徴です。夜間や安静時に起こることもあります。

会陰部神経痛

肛門や会陰部の感覚を伝える神経が刺激または圧迫されることで起こる痛みです。肛門から会陰部にかけて、ヒリヒリする、焼けるように痛む、電気が走る、しびれるといった症状がみられます。座っていると悪化し、立ったり横になったりすると軽くなる傾向があります。

おしりが痛いときは何科を受診すればよいか

肛門の出口やその周囲が痛む、排便時に痛む、肛門の腫れ・しこり・出血・膿などを伴う場合は、肛門科を受診してください。肛門の診察によって、裂肛、血栓性外痔核、嵌頓痔核、肛門周囲膿瘍などがないかを確認します。
血便、便秘や下痢などの便通変化、便が細くなる、腹痛、体重減少などを伴う場合は、消化器内科でも相談できます。症状だけでは肛門の病気か大腸の病気か判断できないこともあります。当院では肛門科と消化器内科の両方に対応しており、診察結果に応じて必要な検査をご案内します。

肛門ではなくお尻(臀部)の筋肉・骨が痛い場合は整形外科へ

「おしりが痛い」という場合でも、痛む場所が肛門ではなく、肛門から離れたお尻(臀部)の筋肉や骨の周囲であることがあります。立ち上がる、歩く、階段を上る、体をひねると痛むなど、姿勢や体の動きに関連した痛みや、腰からお尻、脚にかけて痛みやしびれが広がる場合は、腰・股関節・筋肉・神経などが原因となることがあり、整形外科が適しています。

まとめ

肛門の痛みは、痛みの性質や生じるタイミング、腫れ、出血、発熱などの付随症状から、原因となる病気をある程度推測できます。しかし、正確な診断には診察が必要です。血便や便通の変化、腹痛などを伴い、消化管の病気が疑われる場合には、内視鏡検査などが必要になることがあります。当院では、肛門科診療と消化器内科診療の両方に対応しています。肛門の痛みでお悩みの方はご相談ください。

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