日帰り大腸ポリープ切除手術
日帰り大腸ポリープ切除手術とは

大腸ポリープの90%以上は腺腫というタイプで、腺腫は将来的にがん化するリスクがあります。大腸カメラでポリープを切除することによって大腸がんが発生することの予防につながります。
当院では、大腸内視鏡検査で大腸ポリープ(一部の早期大腸がんも含む)が発見された場合、極力、日帰りでポリープ切除を行っています。
AIによるポリープの見落とし防止
当院の内視鏡システムにはAIによる内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN」を搭載しています。医師の診断を補助し、診断精度の向上、ポリープの見落とし防止につながります。
大腸ポリープ切除手術の種類
ポリープを切除するときには大腸カメラから専用の処置具(鉗子)を使って行います。切除の方法には鉗子に通電せず、機械的にポリープを切除する方法と高周波電波用いて焼灼し切除する方法があります。
コールドポリペクトミー(Cold Polypectomy)
輪っか状の鉗子を、ポリープの根元にかけ、締め付け、そのまま切除する方法です。通電はしません。主に10mm未満の平坦な形態のポリープが対象となります。後述する通電する方法と異なり、後出血や穿孔等の偶発症の発現頻度が少ない点がメリットです。
- ポリープにコールドポリペクトミー専用の鉗子をかけます。
- 鉗子のワイヤーを締め上げてポリープを切除します。
- 切除部に少量の血液が付着し、これが固まって(血餅)、自然止血が促されます。
ホットポリペクトミー(Hot Polypectomy)
主に茎のあるタイプのポリープが対象です。
こちらは使用する鉗子に高周波電流を流し、焼灼することで止血を行います。
茎部分には太めの血管が通っているため、止血を十分に図り、切除する必要があるからです。
- ポリープの茎に鉗子をかけます(写真は12mm大のポリープ)。
- 鉗子のワイヤーを締め上げると同時に通電してポリープの茎の部分を焼きながら切除します。
- 切除部は焼灼され止血されます。
内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)
比較的大きな平坦なポリープに対して用いられる方法です。ポリープの下に専用のヒアルロン酸を注入しポリープを持ち上げ、その持ち上がった部分にスネア鉗子をかけ、高周波電流を流し、切除する方法です。スペースを作ることで穿孔の予防に有用です。ごく早期の大腸がんも切除できます。
- 比較的大きな平坦なポリープが対象となります(写真は10mm大のポリープ)。
- ポリープの下にヒアルロン酸液を注入してポリープを持ち上げます。
- 持ち上がった部分に鉗子をかけ、通電してポリープを切除します。
大きなポリープや数が多い場合など、処置後の安全性を確保するため入院が必要と判断することがあります。入院施設のあるグループ病院の西新井大腸肛門科や他の連携医療機関をご紹介いたします。
ポリープ切除後の注意点
大腸ポリープ切除のトラブルとして最も多いのは出血です。帰宅後は安静を保っていただき、食事など日常生活に関する制限を数日から1週間程度守っていただく必要があります。下記に一般的な制限を記載していますが、制限の内容や期間にはポリープのサイズや切除した個数によって違いがあります。ポリープ切除後に医師から説明いたします。
食事
当日の食事は、やわらかいうどんや卵料理など消化の良いものが好ましいです。野菜やきのこ、海藻などの食物繊維や油分の多い食べ物は避けてください。翌日から数日の間も、刺激の強いもの・脂肪分の多いものを避けてください。
アルコール
アルコールは血管を広げ、血液の流れを増やす作用があります。ポリープ切除後の出血を引き起こす最大の要因です。ポリープ切除後、約1週間は禁酒が必要です。
入浴
当日から短時間のシャワー程度であれば、問題ありません。長時間湯船に浸かる、サウナ等は1週間ほど控えてください。
運動
当日はすみやかに帰宅し、安静にしてください。軽い散歩は翌日から可能ですが、血圧・心拍が上がるような運動や腹圧のかかる動作(ジョギング、筋トレ、ゴルフ等)は出血リスクを増やすため1週間程度控えてください。
旅行・出張
万一、出血が起きた場合には、速やかに来院していただき、内視鏡による止血処置を行うことがあります。
検査を受ける際には、ポリープ切除が行われる可能性を考慮し、検査後1週間程度は旅行や出張のご予定を避けてください。
大腸内視鏡検査およびポリープ切除の費用(保険診療の場合)
保険診療の場合の、大腸内視鏡検査およびポリープ切除にかかる費用の目安です。ポリープの大きさ・部位・数・処置方法などにより変動します。以下は保険適用時の自己負担額の目安です。
内容 | 1割負担の 場合 |
3割負担の 場合 |
---|---|---|
大腸カメラ検査(観察のみ) | 2,000円 程度 | 6,000円 程度 |
大腸カメラ+生検・病理組織検査 | 3,000〜5,000円 程度 | 9,000〜15,000円 程度 |
大腸カメラ+ポリープ切除+病理組織検査 | 7,000〜10,000円 程度 | 20,000〜30,000円 程度 |
上記はあくまで目安です。診察料、事前の血液検査、薬剤・麻酔・鎮静にかかわる費用、処置後の処置(止血、合併症対応など)などは別途かかることがあります。
よくあるご質問
- すべての大腸ポリープが日帰りで切除できますか?
- 大部分のポリープは日帰りで切除可能です。ただし、ポリープの大きさ・部位・形状・出血リスクなどによっては、入院治療が必要と判断することがあります。その場合はグループ病院である西新井大腸肛門科もしくは他の連携医療機関をご紹介いたします。
- 切除後に出血が起きたらどうしたらいいですか?
- 万一、切除後に出血が見られた場合は、お電話をいただき、状況を確認した上でご来院いただきます。内視鏡による止血処置を行う可能性があります。 当院とグループ病院の西新井大腸肛門科で24時間対応可能な体制をとっていますのでご安心ください。連絡方法などは帰宅前にご説明いたします。
- ポリープを切除するとき痛みはありますか?
- 大腸の粘膜表面には痛みを感じる神経が乏しいため、ポリープ切除時に痛みを感じることはほとんどありません。
- ポリープを切除しても、また再発しますか?
- 切除をした部位そのものが再発することは稀ですが、大腸ポリープができやすい体質の方では、新たに別の部位にポリープが発生することがあります。そのため、切除後も定期的な大腸内視鏡検査を継続して受けていただくことをお勧めします。再検査間隔はポリープの性状・数などにより異なります。