胃カメラ
胃カメラの目的
胃カメラは食道、胃、十二指腸の中を直接観察して病気を発見・診断します。検査中に胃カメラの先端から小さな処置器具をだして組織をつまむことができるので、病変の精密検査(病理組織検査)も併せて行うことができます。以下のような病気の発見に胃カメラは有用です。
- 食道がん
- 胃がん
- 十二指腸癌
- 逆流性食道炎
- 急性・慢性胃炎
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃ポリープ
- 十二指腸ポリープ
- 胃悪性リンパ腫 など
従来、胃の検診にはバリウム検査が広く行われていましたが、バリウム検査で異常があると、精密検査としてあらためて胃カメラを行うことになるので非効率的です。一度の検査で異常の発見から精密検査まで行える胃カメラによる検診が合理的です。
なお、このような症状あるいは検査で指摘をうけた方は最初から胃カメラを受けることをお勧めします。
- 吐き気や嘔吐がある
- 食事を飲み込んだ時に使え感がある
- 胃やみぞおちの痛みに悩まされている
- 胸やけ、げっぷがよくみられる
- 貧血がある
- 黒っぽい便が出た
- ピロリ菌の感染が疑われる、あるいは感染している
胃カメラの最大の利点は食道がん・胃がんの早期発見が可能なことです。ごく初期であれば手術を回避して、内視鏡で治療が可能です。食道がん・胃がんいずれも内視鏡で治療できればいずれも90%治癒させることができます。ただし、早期の癌は症状が出ることは稀です。胃腸に自信があっても40歳を越えた方は定期的に胃カメラによるがん検診を受けていただくことをお勧めします。
ピロリ菌と胃カメラ
ピロリ菌は胃の表面を覆う粘液の中に住み着く細菌です。子供の頃に感染すると言われ、長年にわたり胃炎をおこします。このピロリ菌による慢性胃炎は胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となり、さらに長期間、放置しておくこと胃がんになる可能性が高くなります。
胃カメラを行うと胃炎の有無や状態を確認すると同時に、胃の組織をつまみ、ピロリ菌感染の診断が可能です(ピロリ菌の診断法は呼気、血液、尿、便など様々あります。内視鏡後に診断することもできます)。
ピロリ菌陽性の場合にはピロリ菌専用の治療薬を内服することで90%以上の方のピロリ菌がいなくなり、胃がんの発生率が低くなることがわかっています。特に30代、40代で除菌をすればほぼ100%胃がんを予防できるとされています。ぜひ、この年代で一度、胃カメラをうけて自分がピロリ菌に感染しているかどうか調べることをお勧めします。
胃カメラ
基本的な検査の流れ
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検査を申し込む
胃カメラ検査による検査の予約は2通りあります。
- 外来受診していただき検査日予約する方法
- Webで検査日を予約し、その後、一度外来受診していただき受けていただく方法
です。
予約時にどちらのタイプ(経口もしくは経鼻)で検査をするのか選択していただきます。
常用薬がある方は、外来受診の際にお申し出ください(お薬手帳をご持参ください)。検査当日の常用薬の内服法や検査にあたっての注意点など、医師や看護師から説明があります。 -
検査前日
前日の夕食は、21時頃までに食事(できるだけ消化の良い食べ物)を済ませてください。水やお茶についての制限はありません。常用薬のある方については、普段通りに服用してください。
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検査当日
検査が終わるまで食事は取れません。飲水は検査の2時間前まで可能です。鎮静剤を使用される場合は、ご自身による運転(車・バイク・自転車 等)による来院は控えてください。
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検査時
貴金属類(アクセサリー 等)は外し、胃内を観察しやすくするために消泡剤を服用します。検査台に横になってから、内視鏡を挿入していきます(鎮静剤を使用する場合は、挿入直前に投与)。上から、食道、胃、十二指腸の順で観察していきます。なお経鼻内視鏡であれば検査中に医師に話しかけることが可能です。また経口内視鏡では、口の中に唾液が溜まりますが、唾液は飲み込まず、口の横から流し出してください。検査時間は観察のみであれば10分程度です。
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検査後
鎮静剤を使用した場合は院内で30分程度お休みいただきます。食事は観察のみであれば、1時間後からとることができます。経鼻内視鏡検査を受けた方は、しばらくは鼻を強くかまないようにしてください。