大腸カメラ
大腸カメラの目的
大腸カメラの最大の目的は大腸がんを早期に発見して、内視鏡治療もしくは手術に結びつけることです。大腸がんは適切な時期に発見して治療すれば大部分は治癒する病気です。
大腸がんは40歳を過ぎた頃から発症率が上昇していきます。初期は自覚症状が現れにくく、ある程度進行してから血便や下痢・便秘といった便通異常、腹痛などの症状が出てきます。早期発見・早期治療のために40歳を迎えるころから定期的な大腸カメラを受診されることをお勧めします。
大腸カメラによる検査を
受けた方が良いとされる方
- 便潜血検査で陽性反応が出た方
- 便秘や下痢など便通異常を繰り返している
- 便が細くなっている
- 慢性的な腹痛や腹部膨満感がある
- 大腸がんに罹患した親族がいる
- 40歳を過ぎて、これまで大腸内視鏡を受けたことがない方
- これまでに大腸ポリープの指摘を受けたことがある
- 急激に体重が減少している
など
便潜血検査と
大腸内視鏡検査
各自治体では、40歳以上の方を対象に便潜血検査による大腸がん検診をおこなっています。大腸がんの表面から微量な出血があるため、便の中に混じった血液の有無を調べ、陽性となった方を大腸がんの疑いありとして大腸カメラを受けていただくというシステムです。便潜血検査は、検査用のスティックで便を採取して(1日のうちに2回、もしくは2日に分けて2回)検査に提出します。2回とも陽性の方はもちろん、2回のうち1回でも陽性の方は大腸カメラを受けていただく必要があります。
便潜血検査は簡便で体への負担がない検査ですが、小さな大腸がんは出血が少ないので陰性になってしまうことがあること、逆に、出血があれば痔核や腸炎など大腸がん以外の病気で陽性になってしまうことがあります。
大腸ポリープと内視鏡
によるポリープ切除
ポリープの発見と摘出も大腸カメラの大事な目的です。
大腸の表面にイボのような出っ張りになった部を総称してポリープと言います。ポリープはいくつかの種類があり、約80%を占めるのが腺腫というタイプのポリープです。この腺腫が10年以上かけてゆっくり大きくなり大腸癌になることがあります。ポリープは大きくなるほど癌化しやすく、5mm以下のポリープで癌化することはほぼゼロで、10mm以下でも0.1%にも満たないですが、10~20mmで2%、20mm以上になると20%のポリープが癌化するという報告があります。つまり、癌化する前の腺腫の段階でポリープを切除することは大腸癌の予防につながります。
当院では、大腸カメラ検査中に発見した大腸ポリープを、その場で切除することが可能です。
日帰り治療を行なっていますので、お仕事等で時間の取れない方もどうぞご相談ください。
大腸カメラによって
発見可能な主な病気
大腸がん、大腸ポリープ以外にも以下のような病気の発見に大腸カメラは有用です。
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室
- 大腸粘膜下腫瘍
- 大腸悪性リンパ腫
- 感染性腸炎 など
大腸カメラ 検査の流れ
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検査を申し込む
大腸カメラ検査の予約は、2通りあります。
- 外来受診していただき検査日予約し、検査用の食事、下剤を渡す方法
- Webで検査日を予約し、その後、一度外来受診していただき受けていただき、検査用の食事、下剤を渡す方法
です。
外来受診の際に常用薬があるという方は、事前に報告してください(お薬手帳をご持参ください)。抗血栓薬(血液をサラサラにする)や糖尿病薬(インスリン、経口血糖降下薬)など、休薬が必要となることがあります。検査用の食事の取り方、下剤の飲み方の説明や検査にあたっての注意点など、医師や看護師から説明があります。 -
検査前日
検査前日は、検査用食のレトルトになったセット食を食べていただきますが、セット食を好まれない方は、消化が良くて、腸内に残りにくい食事を説明いたします。なお夕食は遅くとも21時までには済ませるようにしてください。水やお茶(できるだけ薄いもの)等の水分についての制限はありません。夕食を終えてから就寝までの間に前日用の下剤を服用します。
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検査当日
常用薬のある方で、とくに制限を受けていない薬については、医師の指示通りに服用いたします。糖尿病薬については服用できません。水やお茶の摂取に制限はありません。腸内洗浄液(検査当日の下剤)は検査の4時間前からご自宅もしくは院内にてゆっくり時間をかけて飲んでいただきます(コップ一杯程度を、10~15分程度)。服用後、頻繁に排便があり、最終的に透明な液体を大切するようになって準備完了となります。なお、検査時は鎮静剤を使用するので、検査後は運転できません。ご自身の運転(車、バイク、自転車 等)による来院は控えてください。
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検査時
貴金属類(アクセサリー 等)は外し、検査着に着替え、検査台で横になります。その後、腕から点滴をし、鎮検査開始時に鎮静剤を投与します。鎮静剤が効いている間は、意識は薄らいだ状態になるので、苦痛を感じにくい状態になります。検査は最初に肛門から盲腸(大腸の先端)まで挿入し、抜きながら空気(炭酸ガス)を入れて大腸を膨らませながら腸の中を観察します。観察のみであれば15分程度です(個人差はあります)。観察中にポリープがあった場合には画像を見ながら説明し、ポリープを摘出します。
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検査後
検査終了直後は、院内で30分程度お休みいただきます。その後、医師から検査結果や検査後の注意点に関する説明などがあります。食事に関しては、観察のみであれば、とくに制限はありませんが、ポリープを切除した場合は、出血防止のため食事、運動、アルコール摂取などに制限があります。結果説明時に併せてお話しいたします。