虚血性腸炎とは
虚血性腸炎は、突然の腹痛と血便を特徴とします。比較的外来診療で遭遇することの多い病気です。ほとんどの場合は一過性で自然に回復します。

虚血性腸炎の原因
大腸に向かう細い血管が閉塞・狭窄することで一時的に虚血(血液の流れが悪くなる)になることが原因です。腸の血流が低下することで腸の表面の粘膜に炎症や潰瘍ができ出血します。
虚血性腸炎の原因とストレスの関係性
なぜ一時的な虚血が起こるのか詳しいところはわかっていませんが、ストレスが関与する可能性があると考えられています。ストレスが強くかかると、自律神経のバランスが乱れ、
- 腸の血管が収縮しやすくなる
- 腸の動きが変化し、腸内圧が上がりやすくなる
といった変化が起こることがあります。これにより腸への血流がさらに減少し、虚血を引き起こす誘因(きっかけ)になると考えられています。
虚血性腸炎の症状
突然の腹痛とそれに続く下痢・血便が特徴です。左側の下腹部に強い痛みが起こり、その数時間後に赤い血便や粘血便が出ることが多いです。多くの方は1〜3日ほどで症状が軽快しますが、症状が強い場合には、食事を中止し、点滴が必要となるため入院が必要となります。
虚血性腸炎の分類
虚血性腸炎は経過や重症度により 大きく3つのタイプ に分類されます。
一過性型
もっとも多くみられるタイプで、軽症〜中等症の虚血性腸炎です。一時的な血流低下で腸の粘膜が傷つきますが、深い潰瘍には至らず、数日〜1週間ほどで自然に改善することが多いとされています。
狭窄型
炎症が治ったあとに腸の壁が縮んで固くなり、腸が狭くなる(狭窄)タイプです。便の通りが悪くなり、食後の腹痛やお腹の張り、便秘などの症状が続くことがあります。軽度であれば経過観察や薬物療法で改善しますが、強い狭窄で腸閉塞を起こした場合には手術が必要となることもあります。
壊死型
腸の血流が長時間途絶えることで、腸の組織が壊死してしまう非常に重症のタイプです。腸に穴が開き腹膜炎を起こすことがあります。頻度は非常に低いものの、緊急手術が必要となる生命に関わる病態です。
虚血性腸炎の検査方法
診断には、大腸内視鏡検査が最も確実です。内視鏡で腸の粘膜を直接観察し、特徴的な縦走潰瘍や出血、浮腫を確認します。しかし、初期は腹痛が強いので症状と診察で虚血性腸炎の可能性が高いと判断できる場合には、数日経過を診て後から内視鏡で確認を行う場合もあります。また、重症例では腹部CT検査で炎症や血流障害の範囲を評価することもあります。
虚血性腸炎の治療方法
軽症~中等症の場合
多くの場合、安静と腸を休める治療(絶食・点滴)で自然に回復します。症状が軽い場合は食事制限をしながら通院で経過をみます。
重症の場合
強い痛みや出血が続くときは入院が必要になることもあります。稀に虚血で傷んだ腸が回復しないため手術で腸を切除することがあります。
虚血性腸炎と食事の注意点
虚血性腸炎では、腸の炎症が治るまで腸に負担をかけない食事が大切です。
予防の食事
回復後も暴飲暴食を避け、規則正しい食事を心がけることで再発予防につながります。
治療の食事
発症直後は絶食や水分補給のみで様子をみることがあり、症状が落ち着いたら重湯・うどん・白身魚など消化のよい食品から再開します。
避けた方がいい食べ物
脂っこい料理、香辛料、生野菜、繊維の多い食品、アルコールはしばらく控えます。
まとめ
虚血性腸炎の多くは一過性で自然に回復するため、過度に心配する必要はありません。大切なのは、発症の早い段階で正しく診断し、安静にして腸を休めることです。突然の腹痛と血便があった場合は、早めの受診をおすすめします。